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オープン・ユア・アイズ
(ABRE LOS OJOS)

1997年/スペイン
[監督]アレハンドロ・アメナ・バル
[出演]エドゥアルド・ノリエガ/ペネロペ・クルス


[あらすじ]
若き資産家セサールは、持ち前の美貌と地位で何の苦労も知らずに生きてきた。
ところがストーカー女・ヌリアの無理心中に巻き込まれたセサールは、
一命をとりとめたものの、顔に修復不可能なまでの酷い傷を負ってしまう。
自慢の美貌が一転、直視に耐えがたい醜い顔になってしまったセサール。
未だかつて経験したことの無い、この辛い現実が受け入れられない彼は、
マスクで顔を覆い隠し、絶望が生み出す悪夢の中を彷徨う。
 
[感想]
「目を覚まして。」で始まり、「目を覚まして。」で終わる、物悲しい夢物語。
どこまでが夢なのか現実なのか、交錯する現実と悪夢が非常に巧妙。
巧妙過ぎて、見終わってもしばらくは狐につままれた気分でした。
 
ラストで目覚めを求めて、悪夢からの脱出を図ったセサール。
あの行為で、彼は自ら人生を終焉させたのかもしれないし、
無事に目覚めて、第二の夢の世界に踏み出せたのかもしれないし、
または全てが、セサールという人が見た「ハンサムで金持ち」という設定の夢で、
現実など、なに一つ無かったのかもしれない。
しかもそれらの夢は、ただの夢だったのか、あの企業に操作された夢なのか・・・。
真相は、セサールにも、私達にも、映画の作り手にも、誰にも判りません。
 
この映画で語られる、近未来の「延命」や「夢の操作」の技術、
そして、それにすがろうとする人間の、なんたる愚かなことか。
堕落を生むだけの技術を誇り、嬉々と語るあの社長には、憤りを感じるばかり。
死ぬ事も無く、生きる苦労もせず、いい夢ばかりを見る毎日・・・
これが人間にとって幸せな技術だと、あの社長は本気で考えているのでしょうか。
この映画が、テクノロジーで安易に命と安楽を得られる未来を本気で望んでいるのか、
それとも、他力本願の安楽にすがる愚か者達を批判しているのかは判りませんが、
後者であって欲しいと切に思いました。
むしろ、技術も未来も全てが、ナルシスト男が空想した都合のいい夢であって欲しいです。
 
傲慢なセサールひとりが批難されがちな映画ですが、
忘れてならないのが、恐怖のストーカー女ヌリア。
彼女の狂気がなければ、事故もセサールの悪夢も無かったのですから。
そんなヌリアの微笑と、「目を覚まして。」の声が、脳裏から離れません。

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