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唐松岳〜五竜岳縦走/3 '16.10/10〜11

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山頂から山小屋に戻ってきました。
戻って来るや、真っ先に小屋のトイレをお借りします。
300円という高めのトイレ設定ですが、山小屋内にあり、
簡易水洗でとても綺麗!
…実は、八方池辺りからずっと便意を我慢していたのです。
肛門括約筋よく頑張った!

ちなみに、唐松岳頂上山荘のテン場は、
左の写真の右下、小屋からジグザグに下ったはるか下にあります。
これはキツイ!
テン場からトイレに行くのも登山レベルです。

■牛首 am12:45

ここ数年の私の山行は、コースタイムを大幅に遅れがちだったので、
今回は正直、五竜岳まで行けるかどうか自信がありませんでした。
もしここまででコースタイムより遅れるようだったら、
五竜には行かず、唐松岳往復で止めておこうと考えていました。
今回は、今の所ほぼコースタイム通りに歩けています。

もしこの先もコースタイム通りに歩けるなら、
唐松岳頂上山荘から五竜山荘までは約2時間40分です。
時刻は12時45分、今から向かったら到着は15時半〜16時か。
夏ならまだしも、日暮れが早い10月…果たして行けるか?

 

唐松岳と五竜岳の間の稜線は、基本的には普通の稜線道なのですが、
一部険しい岩稜地帯があります。
それは、唐松岳頂上山荘からすぐに始まる、牛首と呼ばれる区間です。
切り立った断崖絶壁の岩場を、鎖やマーキングを頼りにルーティングしていきます。
谷底を見たら足がすくんで動けなくなるので、手元と先の足掛かりだけに視線を集中します。

 

三点支持で行けば、言われるほどの難所でもなく、ジャングルジムの気分なのですが、
なにせ背中に50リットルザック、胸元にもカメラやペットボトルが入ったバッグが付いており、
バランス悪いわ邪魔だわで、神経を使いました。
あと、下るのはいいけど、重いザックを背負った状態では絶対登りたくない道です。

 

牛首を抜ければ、あとは普通の稜線歩きです。
長野側の切れ落ちた稜線沿いを避け、富山寄りに道は続いています。
この頃になるとガスが湧き、辺り一面真っ白な世界で視界はほとんどなくなりました。
せっかくの稜線歩きなのに、全く風景も楽しめず、目の前にかすかに見える道を黙々と歩くのみです。

…孤独です。
私がウサギだったらとっくに孤独死しているほど静かです。
山小屋まではあんなに人がいたのに、こちらは行き交う人がいません。
正確には、2〜3人に抜かれ、あっという間に視界から消えてしまいました。
この時間では、前からも後ろからも、もう人は来ないでしょう。

たまたまガスが消えて、行く手が見えましたが、またすぐにガスの中。
こんなに素晴らしい風景なのに、
これを楽しみにここまで来たと言うのに、
全く楽しむ余裕もありません。
小さなピークを登っては下り、また登り…。
いつまで続くのかこの道は、もう体力も限界だよ。

たまたま晴れ間を撮ったので良い天気に見えますが、
もちろんすぐにガスに巻かれました。
そして、よろけるほど猛烈な風が吹き付けています。
どんどん日が傾いて寒くなってきました。
薄いジップシャツにレインウェアを羽織って歩いていましたが、
我慢できずに、レインウェアの下にダウンジャケットを着こみます。
これが私の手持ちのレイヤーの全てなのですが、
全然足りないほど寒く、寒さと疲れで意識も朦朧。

私は本当に正しいルートを歩けているのだろうか、
もしかして幻を見ているのではないだろうか…。
終わりの見えない道を、重い足を引きずりながら死の行軍。
このままでは低体温による意識障害や遭難になりかねんと必死に前進します。
この時は気づきませんでしたが、この写真のピークは白岳といい、
遠見尾根への分岐点になります。
すなわち、この山を越えればもう五竜山荘という所まで来ていたのです。

最後のピークの白岳を越えて下っていると、
ガスの中から突然山小屋の屋根が浮かび上がりました!
やっと着いた!!
この時の喜びと安堵は、この旅で一番の幸せでした。

■五竜山荘 pm15:28

一生終わらないかと思われた稜線を踏破し、五竜山荘に到着。
なーんて今まで大袈裟に言ってきましたが、実際かかったのは2時間45分で、
ほぼコースタイム通りでした。
でも、体力の限界、交通量ゼロの孤独、どんどん迫る日没、
極寒の吹きさらし、先の見えないガス…。
とても所要時間では表せない恐怖を味わいました。
ゴンドラが6時から運転している夏なら、
これほど焦らなくても良い行程なのですが、
日の短い秋では、私のペースではギリギリでした。

五竜山荘のシャッターに描かれている武田菱は、五竜岳の語源となった御陵です。
春になると雪解けで五竜岳に御陵の雪型が浮かび上がり、白馬に春の到来を告げます。

唐松岳〜五竜岳縦走/4へ続く


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