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名も無き発電所跡
 
ハイキングコースとして整備されている有名な遊歩道沿いにある、自然に埋もれた小さな廃屋。
これが発電所跡だと知っているのは、ごく一部のハイカーと地元の人のみ。

静岡の某所のハイキングコースに発電所の廃墟があります。
 
この小さな廃墟には鉄格子がついており、普通の建物ではない事を物語っています。
でも廃墟に興味の無い人達にすれば、鉄格子がついているなんて事はどうでもいい事です。
普通のハイカーなら、「ああ、廃墟があるな。」と思うだけで、さして興味も持たずに素通りする事でしょう。

 
建物はかなりの草に覆われていますが、何となく人が通れる程度に草が踏み固められているので、訪れる人がいるようです。
中を覗いてみるとマルチングビニールのようなものがあり、近所の人が農業資材置き場として利用しているみたいです。
 
建物の内部には安全第一と書かれており、何かの作業場跡だとは一見でも判るのですが、 これが発電所跡だなんて判る人は、地元の人か私のように事前に情報を持っている者だけです。
 
鉄格子から中を覗いただけでは、発電所ならではの遺物は何も見えませんでした。
川沿いなので水力発電所だと思うのですが、こんな小さな建物内にどんな設備があったのでしょうか。
随分前から廃墟だったようで、道を尋ねた地元の人でも操業当時の事は知らないと言っていました。
 

発電所跡の前には綺麗な川が流れており、一人歩くだけでビョンビョンとよく揺れる吊り橋が掛かっています。
ハイキングコースはこの吊り橋を渡り、先へと続いています。
発電所跡の側面は完全に自然に呑まれており、吊り橋から建物は殆ど見えません。
 
この発電所の現役時代がどんなだったか知りたかったのですが、その場にいるのはセミばかりでした。
 
<終わり>

所在地 静岡県某所


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