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伊豆ツーリング/伊豆の踊子めぐり2
 
伊豆ツーリング/伊豆の踊子めぐり1
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湯ヶ野温泉入口。
 

 
町営駐車場にあった踊子像。
 

 
物語ゆかりの宿、福田家。
 

 
福田家玄関先の踊子像。
 

 
共同浴場には入れず。
 

 
かつての下田街道、R474
■湯ヶ野温泉
 
作者と旅芸人一座は湯ヶ野温泉へと辿り着きました。
作者は旅館「福田家」へ、一座は安宿へと、それぞれ旅の荷を解きます。
その夜、作者は踊子を自分の部屋に呼ぼうと、福田家で一座が流してくるのを待ちますが、 一座は福田家の隣の料亭に上がり込んで、宴会の席に入り浸ってしまい、一向に福田家にはやって来ません。
作者は、隣から聞こえてくるドンチャン騒ぎにソワソワし、 あの席でまさか踊子が体を売っているのでは・・・などど要らぬ心配までしては悶々と眠れぬ夜を過ごします。
 
あけて翌日、もう1日この温泉で商売するという一行に引き止められて、作者ももう一泊することにします。
宿の対岸にある共同浴場から飛び出し、一糸まとわぬ姿で無邪気に作者に手を振ってみせる踊子・薫。
その幼き体を見た作者は、こんな子供に惹かれていたのかと笑いが止まりません。
彼女が子供と知って、少し残念に思う半面、安堵につつまれる作者。
大人ぶって見えていた薫は、まだ14歳だということ、そして彼女が栄吉の妹であることを、彼はここで知ったのです。

 


滞在期間が長く、物語の展開の多くを占める湯ヶ野温泉。
それ故、湯ヶ野温泉内には、伊豆の踊子ゆかりのものがたくさん残っています。
 
温泉の入口にある看板塔には、踊子が裸で飛び出すシーンが記されていました。
 
湯ヶ野地区は狭く、車でもバイクでも入っていけません。
町営の駐車場にバイクを置き、歩いて散策に向かいます。
 
橋を渡ると正面に福田家、その玄関に踊子像、そして福田家の隣には、伊豆の踊子文学碑がありました。
 
次は、福田家の対岸にあるという共同浴場に向かいます。
もし露天風呂に入ったら、踊子の真似をしてスッポンポンで手でも振ろうかと目論んでいたのですが、 物語に出てきた露天風呂は今は無く、内湯の共同浴場も地元の人以外の利用は御遠慮下さいの但し書きが。
よそ者は入っちゃ駄目なのか・・・せっかくタオル持ってきたのに、残念。
 
それにしても、 他の伊豆の踊子スポットは人が多かったのに、この温泉は随分と人の気配がありません。
おばあさん一人とすれ違っただけで、地元の人さえ見かけません。
 

 

■下田街道
2泊した湯ヶ野を後にした作者と一座。
彼らは下田に向かう際、本街道を行かず、ショートカットの山道を進みます。
 
作者は道中、千代子と薫のしている自分の噂話に聞き耳をたてます。
薫が彼の事を「いい人ね。いい人はいいね。」と言いました。
自分は孤児だと卑屈になっていた作者は、そんな自分に嫌気がさして伊豆に自分探しの旅に来たのですが、 自分を知らない第三者が、そんな自分の事を偏見なく「いい人」だと言ってくれた事実に喜びました。
 


下田本街道のR414を行きます。
1.5車線幅の峠越えルートです。
 
「いい人ね。いい人はいいね。」
作者の人柄を語る薫達のこの言葉。
彼女達がいかに「いい人」に無縁なのかがうかがえるセリフです。
作者自身が一座を軽蔑する文章はないのですが、峠の茶屋の女主人や、宿の主人達が、一座を蔑む描写が出てきます。
当時の芸人達は、公然と差別をうけていたのでしょう。
 
そんな日々の中、薫達が出会ったエリート青年。
本来なら、真っ先に踊子達を小馬鹿にするくらいの身分の差です。
ところが彼は馬鹿にするどころか一座との同行を望み、エリートの証である旧制第一高等学校の制帽を脱ぎ、代わりにハンチング帽をかぶりました。
一座との触れ合いが作者の心に風を通してくれたのと同じように、 このエリート青年が何の軽蔑もなく、同じ目線で接してくれることが、薫達にとってどんなに嬉しいことだったか。
 
世の中にはこんな奇特ないい人もいるものなのね。そんないい人って、いいね。
 
「いい人ね。いい人はいいね。」・・・お互いの心の補完がうかがえる、この物語一番の名セリフです。

 
下田富士。
 

 
下田の船乗り場跡。
■下田
下田に辿り着いた作者と一座。
作者は一座に、ここでの別れを申し出ます。
すっかり作者と親密になった一座は、一緒に大島に渡ろうとしきりに作者を誘いますが、彼にはもうお金も時間も残されていませんでした。
 
薫と作者はお互い、下田で一緒に活動(映画)に行くのを楽しみにしていましたが、薫は女座長の許しがもらえず、 しょんぼりする薫を置いて、作者は一人で映画に行ったり、下田富士に登ったりしました。
 
いよいよ別れの日、作者は下田から船に乗って東京へ帰ります。
栄吉と薫が、汽船乗り場まで作者の見送りに来てくれました。
作者は栄吉にハンチング帽をプレゼントし、再び制帽をかぶると、船に乗り込みます。
別れに悲しみ口もきいてくれない薫に、作者はただうなずいただけでした。
 
船が離れ、遠ざかってからやっと薫は、作者に向かって白い布切れを振りました。
 
作者は船の中で、人目も気にせず涙を流し続けました。
 
感動にも似た別れの悲しさに、いつまでも泣き続けました。
 


下田にやってきました。
下田市内を観光したかったし、下田富士にも登りたかったのですが、 とにかく眠さと疲れがピークだったので、とても観光する元気がありませんでした。
「下田節」も口中清涼剤「カオール」も買いたかったのに。
また伊豆を訪れた時に、改めて観光する事にします。
 
初めて「伊豆の踊子」を読んだ時、ラストの作者の男泣きに、ついもらい泣きしてしまった思い出があります。
今回伊豆を旅するにあたり、改めてこの物語を読み直してみたのですが、やっぱりラストにはジ〜ンとしてしまいました。
 
中伊豆を旅する際に「伊豆の踊子」を読んでから出かけると、中伊豆の旅がグッと楽しくなる事うけあいです。
1時間程度で読める短編なので、旅のお供に小説を持っていくのもオツなものです。
 
<終わり>

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