蒼白の白崎海岸/2
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大きなトンネルが二つ開いた岩山もあります。 穴の一つはフェンスで封鎖され、もう一つの穴は土砂で埋っています。 この辺りはキャンプ場になっており、たくさんの人が泊まっているようでした。 まだ朝早いのですが、辺りは釣り人がウロウロしており賑やかです。 ここは釣りやダイビングのスポットなのです。 |
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トンネルのある岩山の中を県道が貫いています。 このトンネルが、戦時中に極秘に準備されていた特攻潜水艦(人間魚雷)の基地の跡です。 既存の石灰鉱山の坑道を広げただけの、とってつけたような簡易的な基地です。 当時の日本の余裕の無さを物語っています。 |
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トンネルの中に、不自然に埋め立てられた穴の跡があります。 これが人間魚雷の発進場所だったそうです。 本土決戦を覚悟して、終戦の数年前から準備されていたこの基地。 訓練を受けた兵士達が揃い、あとは潜水艦の到着を待つばかりでしたが、 その間に広島・長崎では原爆が落とされ、8月15日を迎えたのでした。 |
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もし原爆が落とされず天皇のラジオ放送が無かったら、本土決戦に突入しここから人間魚雷が出撃する事態になっていた事でしょう。 そして、人間魚雷に乗り込んだ兵士達は、皆玉砕した事でしょう。 他にも数多くの人々が亡くなっていた事でしょう。 原爆や沖縄、戦地でたくさんの命が失われましたが、その犠牲のお陰で終戦を迎え、 この基地の人々のように命拾いした人々もたくさんいるのです。 複雑な気分で白崎海岸を遠望します。 |
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白崎海岸の県道沿いにある立巌岩。 この近くの由良湾では、侵攻してきた 米艦と海軍の紀伊防備隊との激しい戦闘がありました。 盾となり、たった1隻で侵攻を食い止める「海防艦第三十号」は、グラマン機に爆撃され、沈没。 60名以上もの犠牲者が船と運命を共にしました。 白崎海岸からずっと県道を走っていると、壮絶な最後を遂げた海防艦第三十号の慰霊碑が静かに建っています。 平和な世の中である事を感謝せずにはいられません。 <終わり> 和歌山ツーリング/1へ戻る |
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